館長からのメッセージ(2022年始にあたって)
謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
2022年1月21日、国立新美術館は15周年を迎えます。
2007年の開館から15年間、私たちを取り巻く文化、経済、社会の状況そして地球の自然環境は激変したといっても過言ではないでしょう。
特にコロナ禍以降、私たちは美術館の存在意義について様々な課題と向き合い、美術館活動の実現に向けて模索を重ねてきました。できうる限り美術館を開館することの大切さを示してくれたのは、どのような状況下でも、たゆまぬ制作意欲と柔軟な視点を持ち合わせたアーティストや、当館の事業のために来館してくださる方々の存在でした。
Afterコロナを見据え、また15周年となる今年の企画展は、現代美術の巨匠の個展と、欧米美術館の豊穣なるコレクション展という2本の柱が特徴です。
2月から「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」、そして3月には「ダミアン・ハースト 桜」が開催され、美術史を辿る歴史的絵画から現代まで、時代とともに変遷を遂げてきた絵画の多様性を堪能していただきます。
6月はドイツ・ケルンの「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が作った珠玉のコレクション」、8月は、李禹煥の集大成ともいえる大規模な個展「国立新美術館15周年記念 李禹煥」が開催されます。
また、公募展も本日から開幕しました。一昨年に続き、昨年も少なくない団体が展覧会の開催を断念されましたが、今年はすべての団体が日頃の創作活動の成果を発揮できるようになることを期待しています。
3月には、一昨年来延期を重ねてきた六本木アートナイトも実現の予定です。
今年こそ、2年間のコロナ禍から開放され、多くの方々が自由に美術館に立ち寄り、美術作品をめぐって、それぞれの対話を楽しんでいただけることを願っています。
2022年1月
国立新美術館長 逢坂恵理子