大阪に生まれた村上華岳(1888-1939)は、京都市立美術工芸学校、京都市立絵画専門学校に学び、円山四条派の流れに立ちながら、浮世絵や南画、さらには西洋絵画を取り入れつつ新しい日本画を追求し、新古美術品展、文展から国画創作協会展に作品を発表し続けました。しかし、画壇活動がかえって画家の自由な創作を束縛し、芸術活動を不純なものとするとの考えから1926年の第5回国画創作協会展への出品を最後に画壇から離れ、翌年には神戸に隠棲し、ひたすら自己の精神的深化を求めるとともに仏像や六甲の山並みを題材として独自の水墨画の世界に沈潜し、1939年同地で没しました。
関西での久しぶりの本格的な回顧展となる本展は、初期から最晩年までの作品約250
点を展示し、華岳芸術の真髄を紹介しようとするものです。