『東寺の境内は四万坪ある。平安初期に嵯峨天皇から空海に下賜された当時とかわっていない。その広い境内に彩りを添えているのは楠である。その常緑は、金堂・講堂などの丹塗りの建築群と映えて美しい対照を見せている。』 土門拳
東寺は、京都市南区九条町にある真言宗総本山で、正式には教王護国寺といいます。平安遷都(794)の直後、羅城門の東に建立され、その後823年に嵯峨天皇から空海(弘法大師)に下賜され、空海の伝えた密教の根本道場となりました。
東寺は密教美術の宝庫です。五大明王・四天王・梵天・帝釈天などの諸仏がひしめきあい、空海の構想による立体曼荼羅や数多くの寺宝など、国宝・重要文化財が多数残されています。土門拳は昭和39年、東寺を集中的に取材し、建築・仏像・宝物など約900カットを撮影しました。神秘的な雰囲気を醸し出す東寺独特の世界が、千年余年の時空を超えて、土門の写真の中にあらわれています。
平成6年、東寺は「古都京都の文化財」のひとつとしてユネスコの世界遺産に登録されました。