佐藤忠良(1912年生まれ)は彫刻家としてよく知られていますが、はじめは画家を志していました。また第二次世界大戦後はシベリアに抑留されるという厳しい体験もしました。
ロシアの民語による絵本「おおきなかぶ」の原画を担当するにあたって、佐藤忠良は画家としての素描力と実際のロシア体験に基づいて、力強さや現実感をたたえながら、彫刻家らしく無駄を省き、簡潔で説得力ある新しいタイプの絵本の絵画表現を実現しました。その結果、「おおきなかぶ」は今日まで読み継がれるロングセラーになっています。彼はそれ以後も絵本や挿絵の仕事に従事し、絵画への情熱と力量をこの分野に発揮してきました。
この展覧会では、宮城県美術館が所蔵する佐藤忠良の絵本と挿絵の原画の中から代表的な14の作品の208点を選んで紹介します。また、子どもをモチーフにした作品を中心に、彫刻作品も併せて展示します。