中近東地域がガラス揺籃の地であり、現代に通じるガラス文化の基盤が作られたことをご存知ですか。今回の展示では、科学、歴史、発掘、機能などの様々な面からガラスへのアプローチを行い、古代および中世のエジプト、シリア、イラク、イランな
ど中近東地域におけるガラスの技術的水準の高さ、機能的展開、その美を紹介し、中近東地域の文化と歴史の一端に触れていただきます。ガラスを「観る」という点からだけでなく、ガラスを「知る」「学ぶ」、そして、文化を理解する「道具」として、「モノ」を通じた文化理解の試みでもあります。
中近東文化センターおよび出光美術館が所蔵するガラスは、国内最大のオリエント・ガラスのコレクションです。それを一挙に公開するとともに、日本の調査隊が中近東地域で行った発掘の出土資料および写真、ガラスの科学や技術に関連する資料なども展示いたします。
また、新しい試みとして、本企画と別に一般の方から募集した企画を展示するコーナーを設けました。中近東の古いガラスにとどまらず、若手ガラス研究者の研究発表、近現代日本ガラス産業の紹介、革びいどろなどのガラスと関連する工芸品の展示などを行い、私たちの身近な視点と中近東の歴史的な視点を比べて、より楽しんでいただけるものと思っております。