当館では書のコレクションと連動させ、毎年様々な角度から現代書の魅力をご紹介しています。今回は北海道をうたった俳句や詩歌などを題材として書かれた書の作品と、北海道の風景を撮影した写真をあわせて展示いたします。
北海道は独特の自然環境を有する土地です。その自然の美しさや厳しさが人々の心をとらえ、色々な文学の題材となってきました。雪と氷におおわれる長い冬と、花咲きほこる清々しい夏。緑豊かな山岳や神秘の湖沼。生命の源である河川や海。そこに共存する様々な動物たち。自然の営為のなかで刻々と生まれるドラマは、現代の詩歌にも多様に表現されています。
詩歌は古来筆墨で表されたものですが、現代では活字で目にすることのほうが多くなっているでしょう。詩人や歌人がよんだ詩歌を吟味し、これを素材として現代の書作家が筆墨で表した作品は、新たな生命感を吹き込まれたように生き生きと躍動し、見る者に訴えかけてくるようです。
本展では、読みやすく親しみやすい書の表現を目指す日本詩文書作家協会会員約260名の作品と、写真家山梨勝弘・永田勝茂両氏による四季折々の風景写真によって、あらためて北海道の魅力の大きさを感じとっていただきたいと思います。