十河雅典は、今日最も先鋭な作風で、現代日本の社会状況と濃密にかかわりあうメッセージ性の強い絵画作品を制作しています。
氏は昭和18年東京に生まれ、麻布高校から東京藝術大学工芸科(ビジュアル・デザイン)に進み、大手広告代理店に就職、大企業の広告制作にかかわりましたが、より自由な表現活動を模索して退社、昭和50年より茨城大学で美術教育に携わりました。現在,日本の社会・思想・大衆を芸術家の眼で捉え,現代絵画の新しい領域を開拓しています。
氏の作品には躍動・狂喜・乱舞する強烈な色彩と猛烈な筆法が見られ、画面の中に文字や記号を意図的に大胆に持ち込むなど、絵画表現の限界にも果敢に挑戦しています。氏が絵画にこめたメッセージには休みなく前進してきた現代日本社会へのアイロニーやユーモアとともに、十河流の叱咤激励も見られます。
当館は、現代日本と歩みをともにしてきた、東京生まれで本県在住の現代美術家・十河雅典の作品を紹介することで、新しく東京と茨城とをつなぐつくばエクスプレス開通の記念事業とします。