人の手が作り出すものには、生きる過程で得られる哲学や個性が吹き込まれます。生活に必要な道具として絶えず発展してきた陶磁器は、陶工たちによって姿かたちをさまざまに変えました。
朝鮮陶磁の魅力とは、人の手のぬくもりがじかに伝わることといえましょう。そのひとつとじっと向き合えば作った人の表情が目に浮かび、手の厚みや感性まで見えてきます。地理的に中国大陸と日本列島のあいだで長い歴史を育んだ朝鮮半島では、中国陶磁に影響を受け、日本陶磁にその技術を伝えました。両者のはざまで独自の発展を遂げた朝鮮陶磁は、驚くような存在感をもつものや静かにただずむもの、またそこにあってほしいとさえ思わせる器物にあふれています。
このたびの秋季展では、高麗時代の青磁や朝鮮時代の個性的な粉青磁、そして幅広く展開した白磁の逸品60点を展観します。朝鮮陶磁を愛するみなさまに、ぜひご覧いただきたい展覧会です。