この展覧会では、当館の所蔵作品を中心に、ポップ・アートの作家の中から三人の作品をご紹介します。
レッド・グルームスは、当館ロビーに設置された作品《ウールワース・ビルディング》でお馴染みの方もいらっしゃるかと思います。彼は1997年、今池交差点にモニュメントを設置しました。ここではそれに先だって制作されたマケットやドローイングを紹介し、グルームスの制作過程の一端をご覧いただきたいと思います。
デイヴィッド・ホックニーの作品からは、《C.P.カヴァフィによる14編の詩のための挿絵》を展示します。愛し合う恋人達の姿を美しい線描によって淡々と描き出したこの作品は、ホックニーの版画家としての優れた一面を語ってくれます。
また、ロイ・リクテンスタインの版画作品の中から、「ブラッシュ・ストローク」と呼ばれるものをまとめてお見せしたいと思います。漫画からの引用やドットによる画面で知られるリクテンスタインですが、彼の別の側面を見せてくれる「ブラッシュ・ストローク」には、筆跡を絵画にしてしまう斬新さがあり、そこには時代による変遷も見ることができます。
今回ご紹介するようなマケット、ドローイング、版画といったものは、大画面の作品とは異なった味わいを持っており、作家の意外な側面を知らしめてくれるものです。この展覧会によって三者三様の作品をお楽しみいただければ幸いです。