2004年9月、日本列島を襲った台風18号により、日本三景の一つとして有名な厳島神社(広島県宮島町)は、国宝、重要文化財計40棟のうち国宝・左楽房が倒壊するなど被害は30棟に及びました。復旧には約7億9000万円が必要とされ、修復作業は2年近くかかる見通しです。この展覧会は、復興支援のため緊急企画されました。
安芸の宮島に鎮座する厳島神社は、平安時代末期に、平家一門によって整備されたみごとな景観を現代に伝え、1996年には世界遺産に登録されています。瀬戸内海に浮かぶ華麗な社殿や、平家をはじめとする武家による数々の奉納品は、後世に守り伝えるべき文化財として、今日ますますその価値を高めています。
展覧会では、平安時代、平清盛とその一族が写経した装飾経の最高傑作「平家納経」をはじめ、同社に伝わる古神宝および武器・武具などの国宝9件を中心に、舞楽面や能装束など重要文化財18件を含む宝物32件113点を、「平家ゆかりの品々と厳島の至宝」「国宝・平家納経―善美をきわめる」「厳島の芸能―仮面と装束の美」の三つのテーマで紹介します。世界遺産の社宝を鑑賞しながら、厳島神社の一日も早い復興を祈る機会となることを願ってやみません。展覧会の収益は、厳島神社復興支援の一助となります。