奈良・斑鳩の里にある中宮寺は、法隆寺や四天王寺などとともに聖徳太子によって建立された七つのお寺のうちの一つで、今は夢殿でよく知られる法隆寺東院に隣接しています。今回、お寺から格別のご配慮をいただき、本尊・国宝 菩薩半跏像が特別公開されることになりました。
菩薩半跏像は頬に右の指先を当てて深い思惟をめぐらす、半跏思惟の姿で表されています。
飛鳥時代の後半に制作されたと考えられます。優しい微笑をたたえるこの像を、和辻哲郎は『古寺巡礼』のなかで日本芸術の最も優れた代表者としてあげています。有名な仏像の多い日本古代にあっても、瞑想する静かな心をこれほどまでに美しくあらわす像は稀です。
どれほど多くの人がこの像から心の安らぎを感じたことでしょうか。
この機会に是非、このお姿に接していただきたいと思います。