「オバケというのは、本当に、見つめることによってあらわれるのだ。
だから、純粋に己をみつめれば誰でもが、一生のうちに大なり小なり、奇怪な分身の姿を見る。」*
オバケの姿は日本人の自由な発想力が源であると考え、日本文化としてのオバケに関心を抱いていた岡本太郎。人間の身分に構わずいたずらをしかけ笑い飛ばすオバケ。これを日本人の誇り得るものの一つであると、岡本は述べています。
岡本の作品には人間の内にある真の姿として、オバケのようなキャラクターがたびたび現れます。岡本の冷静かつ無邪気な目線から表現された世界では、ほとんど妖怪に近い姿をなした生き物が駆け回り、生を哄笑します。
本展ではオバケ同様に既存の体制に抗いながらも、愛嬌ある作品を生み出し続けた、岡本が作り出した鮮やかなオバケ王国をご覧ください。
*岡本太郎「《オバケ》このアンチ人間 下司・チンピラ幽霊は消え失せろ」『サンデー毎日』1965年8月29日