人間と自然のより調和的でバランスのとれた関係を目指す上で、アートはその特性とするオープンで受容的な考え方や、既存の前提を疑う姿勢、そして今を生きる我々が、意識をどこに向けていくかを再考する重要なプラットホームとなり得る。人間の自然界への積極的な関与もまた、現代的な意識の変化と「世界」の把握に影響を与えるものと考える。展覧会「Lines-意識を流れに合わせる」では、自然の中に見出す手がかりを、どこまでも追求するアーティストらによってもたらされるもののほとんどが線に沿って進んでいるとするティム・インゴルドの考えを参照して、世界を相互に結びついた生態系のプロセスの網の目として理解し、私たち人間の創造的実践をより広範な文脈の中に統合すること、また、生きるためにさまざまな亀裂を縫い続けて線に沿って歩くことを現在進行中の前向きな「なりゆき」のプロセスと捉える。線の探究に積極的に参加する作家作品を紹介する。