- タイトル等
- 会場
- 国立国際美術館
B3F
- 会期
- 2024-06-04~2024-10-06
本展覧会会期中は、展示室の整備・修繕のため、コレクション展を開催しません。
- 休催日
- 月曜|ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館し、翌火曜は休館
- 開催時間
- 10:00~17:00
金・土曜は20:00まで|入場は閉館の30分前まで
- 観覧料
- 一般1,200円(1,000円)|大学生700円(600円)
・( )内は20名以上の団体料金および夜間割引料金(対象時間:金・土曜の17:00-20:00)
・高校生以下・18歳未満無料(要証明)
・心身に障がいのある方とその付添者1名は無料(要証明)
- 主催者
- 国立国際美術館
- 協賛・協力等
- 協賛|ダイキン工業現代美術振興財団
助成|令和6年度文化庁我が国アートのグローバル展開推進事業
協力|艸居/Kanda & Oliveira/Taka Ishii Gallery/Kawara Printmaking Laboratory, Inc.
企画担当|福元崇志|国立国際美術館 主任研究員
- 概要
梅津庸一(1982-)とは誰か?明治期における洋画の歴史を参照しながら自画像を描き、また奔放かつ繊細な抽象ドローイングも数多く手がけてきた彼は、ひとまず画家だと言えるでしょう。しかし、その仕事は絵画に限りません。近年では陶芸や版画の制作でも知られていますし、さらには作品制作という枠組みすらも軽々と越え、私塾の開設や展覧会の企画、非営利ギャラリーの運営、批評テクストの執筆といった活動を展開してきました。
★本展覧会は、そのような梅津の、2000年代半ばより始まる活動の軌跡を追う試みです。とはいえそれは、彼の実像を浮き彫りにするための回顧展では必ずしもありません。「人がものをつくるとはなにか?」――彼の仕事の随所から生じてくるこの問いにうながされ、制作という行為がもつ可能性を根本から考えなおすことこそが、私たちの目的です。
★梅津はしばしば、自分の多種多様な仕事ぶりを「花粉」になぞらえてきました。一点の色斑が、一本の描線が、一語の言葉が、一個の作品が、あるいは一篇のテクストが、場所から場所へ、人から人へと移りゆく。そんな思いがけない伝播のプロセスそのものを、彼は重視しています。その点、梅津が本展覧会のタイトルとして「クリスタルパレス」なる語を選んだことは示唆的です。1851年、ロンドンでの万国博覧会に姿をあらわし、後には巨大な温室を含む複合施設として転用されることにもなる、鉄骨とガラスのパビリオン。庭師あがりのジョセフ・パクストンが設計した水晶宮を念頭に、彼は展覧会場を、花粉の培養地に仕立て上げようとします。
★もちろん、自分の個展がこの時期、ここ大阪の地で開催されることに梅津は無自覚でありません。「クリスタルパレス」には、花粉の生成をうながす構造体という比喩のみならず、彼の政治的姿勢も含意されています。しかし、だからといって彼が、自作をとおして何か直接的かつ具体的な主張を展開することはないでしょう。現実の社会に対して「あるべき」姿や「ありえる」姿を提示することと、「私小説的」に美しい表現を追究すること。美術の制作は、その両者の微妙なあわいにこそ位置づけられるべきだと梅津は考えています。
★この国で美術家として生きることはいかにして可能なのか?――大学における造形教育や、アートマーケットのありかた、また制作を下支えする産業構造など、美術をめぐる諸制度にたびたび批判を加えてきた梅津は、いつもこう自問してきました。そもそも「つくる」とは、絵画や彫刻を手がける美術家だけに関わるものではなく、考えることや話すこと、つまりは生きることそれ自体とも重なり合う、きわめて広い射程をもった営みであるはずです。美学と政治、プロフェッショナルとアマチュア、芸術家と職人といった諸領域の重なり合うところに成立する「つくる」。梅津の飛ばす花粉は、誰もが無縁でいられない制作という行為について、あらためて考えるきっかけを与えてくれるにちがいありません。
- イベント情報
- 詳細は決まり次第、当館ウェブサイトなどでお知らせします。
- ホームページ
- https://www.nmao.go.jp/events/event/202400604_umetsuyoichi/
- 展覧会問合せ先
- TEL:06-6447-4680(代)