日本のクルーズ文化を創造し発展をリードしてきたクルーズ船「飛鳥Ⅱ」は、クルーズを通して日本文化を伝える役割を果たしてきました。その伝統を受け継ぐ新造客船「飛鳥Ⅲ」には、日本の芸術文化を支える作家の美術作品、工芸作品が数多く飾られ、「動く洋上の美術館」をコンセプトの1つとしています。その展示作家の一人である平松礼二(1941~)が「飛鳥Ⅲ」のために制作した作品を、就航前に先行公開する展覧会を開催します。
平松は、日本画家を志した青年期より、日本美術の源流を求めて世界の国々を訪ねる旅をしてきました。52歳の時にフランスで出会ったクロード・モネの作品の中に日本画との共通点を見出し、以来、モネがモチーフとした風景を、日本画家の眼を通して再構築して描くことで、日本美術の本質を探究してきました。
今回、平松は飛鳥Ⅲのための制作テーマに「世界を旅する日本画」を掲げ、36点の大作を仕上げました。本展ではその中から、「モネの睡蓮」を主題とした作品や、日本の四季を色彩豊かに描いた作品など約30点を紹介します。