例えば空から舞い落ちる綿毛や、木々に反射した光が織りなす陰影を、私たちは美しいと感じる。アンジュの作品も、形容し難い形態と色彩をもって、ふと私たちの目の前に存在する。キャンバスが用意されるや否や一気呵成で描かれる図象に画家の恣意的な痕跡は見当たらない。しかしそこには画家の意識と身体が確かに介在している。そのように絵画を生成させる才能は稀有である。そうして謎に包まれたイメージの数々は、言語の世界から私たちの心を解き放ち、自由になることを可能にしてくれる。
今展では金色の支持体や雲肌麻紙に描かれた新しい「空円」の世界を発表する。ぜひご期待ください。
2024年1月 シュウゴアーツ