この度、平塚市美術館では、所蔵品による「1950~60年代の日本画ー造形への挑戦」展を開催いたします。
戦後まもなく、それまでの伝統的な日本画のあり方に危機感をつのらせた画家たちが新たな表現を模索するようになりました。1948年には「世界性に立脚する日本絵画の創造を期す」という宣言のもと、「創造美術」(現・創画会)が結成されます。日本画の革新運動は、新興の美術団体のみならず既存の団体を含む日本画壇全体におよび、戦後に台頭してきた若い画家たちを中心に、1950年代から60年代にかけてさまざまな試行錯誤が重ねられました。日本画の伝統に拘泥せず、画壇に新風を吹き込もうとした画家たちが参照したのは、欧米の絵画作品でした。その堅牢な造形や油絵具のもつ力強いマチエール、あるいは当時注目を集めていた抽象表現が取り入れられるなど、「革新」の呼び声のもと、一時代を象徴する作風が生み出されました。結果として日本画は、同時代の洋画の造形に接近することになり、画材こそ違えども、日本画と洋画の造形的な境目があいまいになりました。
本展は、当館の所蔵品の中から創画会、日展、院展で活躍した日本画家を中心とした1950~60年代の作品のほか、同時期に制作された洋画を加えた約50点を展示することで、この時期の日本画の造形的な特徴の一端を明らかにしようとするものです。