群馬県の文化振興に広く貢献された高崎市の実業家、井上房一郎(1898-1993)は、美術館での公開を念頭に長年作品を蒐集し、昭和49(1974)年の群馬県立近代美術館開館に際して、国の重要文化財を含む日本・中国の美術作品をまとめて寄贈されました。このコレクションは、井上氏の号「戸方庵」にちなみ「戸方庵井上コレクション」と名づけられ、現在、所蔵品の重要な柱の一つとなっています。
本展は、南宋から清時代にかけての中国絵画や、日本の室町から桃山時代の水墨画、江戸時代の琳派、狩野派の作品、さらに肉筆浮世絵などといった戸方庵井上コレクションの特色ある作品を奥深い日本美術の世界へ誘う扉に見立て、全国各地からお借りした名品の数々とともに5つの章からご紹介します。開館50周年を記念した美の競演をおたのしみください。