開港場であり居留地のあった横浜は、明治期には陶磁器の一大生産地であり、眞葛焼に代表される「横浜焼」の精巧な細工や意匠は欧米の人々を驚かせます。またこの地では、洋家具をもとにした和洋折衷で輸出用の彫刻家具が制作されます。時代が変わっても、優れた技術を伴いつつ強烈な個性と芸術性をもつ作品は、人々を魅了してきました。明治から昭和初期にかけて、高橋由一、岸田劉生、河野通勢らを始めとした鬼気迫るような油彩画はその好例といえるでしょう。今日においても自らの表現を突き詰める現代作家による多彩な注目すべき試みを見ることができます。
本展は、日本の近代から現代における細密表現をキーワードにして、「江戸・明治の工芸」、「近代絵画」、そして「現代美術」という幅広いジャンルから選りすぐった作品約100点をご紹介し、その表現の多様性をご覧いただこうとするものです。