国際芸術センター青森[ACAC]は、表現活動を行う人々が全世界から集い、宿泊しながら地域住民や学生らと交流し、滞在制作を行うアートセンターです。表現者たちは偶然や必然に導かれながら移動し、この青森という土地/場所へやってきます。古代からヒトをはじめとした生き物は、自然の力も借りながら、移動を続けることで生きてきました。生まれた場所、定住する場所、前にいた場所、そしてこれから行く場所は、今たまたま現在地であるここ青森と、どのようにかかわり合うのでしょうか。そして、様々な場所の自然や人間、非人間たちといった存在、そして歴史や記憶と私たちは、いかに交差しつつ、語り合い、とらえ直しながら生きていくことが可能なのでしょうか。
本展では、「現在」という意味をもちながら、海流や気流をはじめとして、ある一定の方向に動く水や空気、電流などの変わり続ける流れを示す「current」と、表面や他の流れの下にある目に見え難い流れや暗示を意味する「undercurrent」をキーワードとして、ある場所とかかわり合いながら表現をつむぎ出す国内外のアーティスト、そして青森ゆかりの表現者たちによる作品が集います。前期と後期の出展作家は同じですが、会期半ばで展示替えをし、異なる2 つの展覧会を行うことで、一回限りでない場所への働きかけや、変化し続ける「いま」をこの場に取り込むことを試みます。それぞれの表現が発生させる流れや渦のようなものが、出会い交差することで、また新たな流れや渦を無数に生成させていく…実験的なアプローチを通して、私たちの現在地を問う企画です。