木嶋正吾(1953年、山形市生まれ)は、多摩美術大学大学院美術研究科を修了した1980年代から、絵画面にアルミ片を貼りつけ、褐色による幾何学的な構成を持ったレリーフ状の絵画「零度」連作に取りくんできました。2000年代前半には、画面に貼りつけた紙片を再び剥がし、着色したコラージュによって、モザイク状の淡い表情を持つ絵画へと展開していきます。絵画連作のタイトル─「零度」「零視」「零比」「零形」「零色」「零層」─にうかがえるように、木嶋の制作には、絵画の存立する極点を見きわめようとする、ゼロへの考察があります。
本展では、初期から最新作約50点によって、絵画の可能性を追究しつづける画家・木嶋正吾のひろがりゆく世界を紹介します。