「私は、染ものゝ中でも始終暢々働ける『のれん』の仕事を好みます。」※
芹沢銈介は染色に専念するようになった30代から「のれん」を手がけています。持ち前の卓越したデザイン力を発揮し、文字、風景、人物、工芸品など多彩な模様を次々にのれんに表現していきました。やがてのれんは、一般家庭に普及して暮らしを彩るとともに、芹沢の仕事の中にも大きな一角を占めるようになります。その数は少なくとも300種類以上にのぼり、巨匠として国際的な評価を得た80代に至るまで、途切れることなく制作が続けられました。この展覧会では、芹沢ののれん約50点を展示し、初期の作品、60代のころの名作、晩年の作品、店舗用ののれんに至るまで、幅広くごらんいただきます。
※絵本『のれん集』(1965)付録より