版画は人々が芸術に親しむ機会を広げた大衆芸術で、日本では浮世絵版画が庶民に親しまれ大いに発展しました。
アメリカ在住の笹慶之(ささみちゆき)氏は、身近な芸術として「版画」をアメリカの画廊や絵画市で収集してきました。「科学的な事象(化学)を理解するには、自然や芸術を理解する気持ちが大切」と感じ、中でも版画は「誰にでも、いつも愛された、或る意味で、最もアートらしいアートの様な気がします」と語っています。笹氏はこの「版画達」に、これまでの収集を温かく見守ってくれた奥様の家系名を含めて、Sasa Adairコレクションと名付けました。
本展では、マティス、ピカソ、ダリ、ビュフェをはじめとする20世紀の芸術家たちが情熱を注いだ版画の仕事を、彼らを支えたパリの版画工房や出版社との関係を交えて展示します。同時にアメリカンイラストレーションの黄金時代を築いたパリッシュと古き良きアメリカを象徴するロックウェルのイラストも紹介します。ヨーロッパからアメリカまでの“版画達”が集まるこの機会に、教科書や雑誌で誰もが一度は見たこと聞いたことがある20世紀の巨匠たちが描くカラフルな版画達をお楽しみください。