美術大学在学中、東京の夜景を表現した作品でTokyo Midtown Awardのオーディエンス賞を受賞した大村雪乃(1988-)。その作品は、文房具の丸シールを貼ることによって作り出されています。
都会のきらびやかな夜景の輝きは、目を惹きつけるとともにどこか寂しさを感じさせるものですが、遠目には魅力的な景色でも、本質は異なることはままあります。
電力を大量消費して生まれる明かりの一つ一つが、近づけば安価なシールで再現されているというギャップ、また、人の手を感じさせない工場生産のシールの、均一でフラットな質感が想起させる都会の景色のよそよそしさ。大村の作品には、社会の矛盾や欺瞞(ぎまん)への暗示があります。
本展では、大村の代表的な夜景作品を中心に、近年取り組んでいる花や人物をモチーフにした作品、シールの色数を増やして表現に広がりを持たせた近作も展示します。誰もが知っている素材を用いたシールアートの魅力をお楽しみ下さい。