情熱と職人技でよみがえる
色彩が織りなす華麗なる王朝絵巻
古代、染織品は美と富の象徴でした。そのまばゆい色彩は人々を魅了し、特に紫などは貴重な色として尊ばれました。現在では失われてしまったこれらの色を追い求めたのが、京都で江戸時代から続く染色工房「染司(そめのつかさ)よしおか」の4代目・5代目当主にして染色家の吉岡常雄(1916-1988)・幸雄(1946-2019)親子です。彼らは、古来の文献をひもとき、美術工芸を学び、世界各地の染織品と技術を訪ね歩いて、自然の染料による日本の伝統色の再現に努めました。その仕事は、特に社寺の祭祀や、古典文学、中でも『源氏物語』にみる色彩や装束の再現・復元として知られています。本展では、あくなき探究心と情熱により現代によみがえった王朝の色彩をご紹介します。