池田龍雄(1928~2020)は伊万里市二里町に生まれ、92歳で没するまで精力的に創作活動を続け、アートシーンの第一線で活躍しました。池田の約70年にわたる画業を振り返る、故郷佐賀で初めての回顧展を下記のとおり開催します。
池田は15歳で海軍航空隊に入り、特攻隊の訓練中に終戦を迎えました。その後、美術を志し上京した池田は、より実験的で大胆な表現を求めるアヴァンギャルド(前衛)芸術に心ひかれ、画家・岡本太郎をはじめ、文学、音楽、映画等様々な表現者たちと知り合いながら、自身の表現を追求していきました。社会の矛盾や不条理を鋭くかつユーモアたっぷりにあぶり出すペン画シリーズをはじめ、生命や宇宙のイメージを神秘的に描き出した「BRAHMAN(ブラフマン)」、廃材を利用した不思議なかたちのオブジェ(立体作品)など、その作品は実に多彩です。
池田はアーティストとして生きることは「たたかい」―「闘い」であり、同時にアートは「あそび」であると語っています。人の心と精神の自由を形にする「あそび」であるアートを、池田は厳しい生活と表現方法との苦闘の中で生み出していきました。
本展では、戦後、現代の日本の美術界を代表するアーティストの一人として、今なお大きな存在感を放ち続ける池田龍雄の生涯、その「あそび」と「たたかい」の軌跡を御紹介します。