海(うみ)、馬(うま)、牛(うし)など、“う”の付くものを集めた展覧会です。本展の中心となるのは、歌川広重の手になる「魚(うお)づくし」と呼ばれる揃物で、天保年間(1830-44)に制作されました。当館では天保初期に西村屋与八(永寿堂)から版行された11図と、天保後期に山田屋庄次郎から版行された9図の計20図を所蔵しており、写実的に描かれた魚類と植物の取り合わせが清々しいシリーズです。また、画面上部には狂歌が書き込まれているのも本揃物の特徴の一つで、広重と狂歌師たちとのつながりは先行研究によって指摘されています。浮世絵に描かれた“う”を、楽しみながら探してみてください。