岐阜県出身の大平由香理は「アーティスト・イン・レジデンスつなぎ2019」への参加をきっかけに2020年6月に地域おこし協力隊として津奈木町に移住しました。伝統的な日本画の画材と技法をベースにしながら人々と協働で作品を生み出す大平は、移住直後に令和2年7月豪雨を経験し、女性消防団に入隊するなど、住民として地域の活動にも積極的に関わってきました。全国各地でさまざまな滞在制作プログラムが実施されていますが、大平の3年間のアーティストとしての滞在は、芸術が手段ではなく目的としての価値を有することを明らかにする試みでもありました。3年間の成果を展示する本展が、アーティストと地域の関係をあらためて考える機会になれば幸いです。