四季折々の情趣を作品に描いた鏑木清方は、一月から二月にかけての寒さが厳しい頃にも、早咲きの菜の花や紫陽花の小さな芽などに春の兆しを見つけ、その趣を楽しみました。
明治から昭和にかけ急速に近代化が進み、人々の暮らしや町並みは大きく変わりました。清方は、時代とともに失われつつある季節の風物や風景を、絵筆だけでなく随筆でもかき残しました。清方にとり文章をつづることは、もう一つの大切な表現手段でした。
本企画展では、春の訪れを告げる早春の風情を描いた作品を、名文家としても知られる清方のことばとともにご紹介します。