タイトル等
ちひろ美術館コレクション なんて世界は素晴らしいのだろう
会場
安曇野ちひろ美術館
会期
2023-03-01~2023-05-28
概要
現在、私たちは戦争、格差、貧困、環境破壊、災害、など、多くの問題とともに生きています。しかし、世界には苦しいことや恐ろしいことだけではなく、素晴らしいこともたくさんあります。本展では、10ヵ国の画家たちの絵本のための作品をことばとともに紹介し、いま一度世界を見つめなおすきっかけとします。

自然のなかで
近年はキャンピングブームの再来といわれています。村上康成の『ようこそ森へ』は、キャンプにやってきた家族のようすを、一羽のカケスの視点から語る絵本です。森の住人であるカケスは、空から、木の上からと移動しながらこの人間の一家に、森の魅力を伝えようとします(図1)。

しかし、森にやってきてテントをはった彼らに、その声は届いているのでしょうか……。一家は、森で水浴びをしたり、虫を取ったり、ご飯のために火をおこしたりと、自分たちの活動に熱心で、カケスの存在には、あまり気づいていないようです。ただ少年だけが、一瞬カケスと目を合わせます。
ページごとに変化する大胆な構図と、そぎ落された画面を通して、私たちは鳥のようにすこし離れた距離から、雄大な自然を感じ取ることができます。

想像するちから 創造するよろこび
頭のなかでそこに無いものを描き、形づくる想像力は、人間だけにそなわった力といわれています。『紙の町のおはなし』では、主人公の女の子が紙に色を塗り、窓を描くと、家ができあがります(図2)。

家のなかには不思議な猫や鳥が住んでおり、現実にはあり得ない登場人物や建物は、どこかユーモラス。平らになったり立体になったり、紙のもつ広い可能性を楽しんでいるクヴィエタ・パツォウスカーは、「みんなをこの紙の町へ招待して、たくさんのゆかいな仲間たちに会ってほしい」と語っています。

ビンバ・ランドマンによる『ジョットという名の少年』では、中世後期のイタリアの画家でルネサンスの先駆者ともよばれ、いくつもの宗教画の名作を残したジョット(1267年頃~1337年)が、画家になる前の少年時代を描いています。10ヵ国以上で翻訳出版されているこの絵本には、まだ8歳の少年が画家になることを夢みながら、きびしい生活のなかで、その夢にむかって一歩ずつ近づいていくようすが語られます。羊飼いのジョットは、羊の番をしながらも時間を忘れて木の枝で地面に羊や木や鳥の絵を描いていたのです。ランドマンは絵本を出版した後、この少年の成長していくようすを、聖人の生涯が描かれた教会の祭壇画のように描きました(図3)。この作品のために、古代の技法であるテンペラを用いたランドマンにとって、ジョットの創造の喜びは自分の姿と重なったことでしょう。

いっしょに わかちあう
自然や芸術に心を動かされるとき、それを分かち合うだれかがいることで、よろこびが増します。絵本『いっしょにいたらたのしいね』では、森で仲間のいなかった鳥と魚が友だちになり、相手をとおして、お互いの住む世界の魅力を新たに知ります(図4)。

ユゼフ・ヴィルコンはこの作品のためにアクリル絵の具とパステルによって、鳥の住む世界を金色、魚の住む水のなかの世界を青色で彩り、その色づかいは彼が影響を受けた中世ビザンティンの絵画を思わせます。

『舌ながばあさん』は、森の木をすべて切り倒してしまったために水が枯れ、食べるものが無くて困っている村人たちのために奮闘する舌ながばあさんと、鬼の朱のばんのお話です。本来は人間を驚かすはずのおばけたちが、人々を助けます。この絵本の最後の場面では、緑がもどった山のなかで、子どもも大人も、おばけたちとなかよく遊んでおり、まさに楽園のようです(図5)。日本の昔のおばけを題材にしながら、舞台を中国に移したこの絵本は、国を超えた大らかさを持っています。「わたしたちの祖先は、自分たちの過ちをいく度となく修正しながら、文明を築き上げてきました。わたしたちもまた、常に自らの間違いを正しつつ、未来を創造していくべきだと思います。」と武は語っています。
ホームページ
https://chihiro.jp/azumino/exhibitions/83498/
会場住所
〒399-8501
長野県北安曇郡松川村西原3358-24
交通案内
[電車によるアクセス]

■安曇野ちひろ美術館の最寄り駅
●JR大糸線 信濃松川駅
信濃松川駅から 安曇野ちひろ美術館まで 約2.5km
・タクシー 約5分
・レンタサイクル 約15分
・徒歩 約30分
※ レンタサイクルは、信濃松川駅前で借りることができます。お問い合わせ先:セピア安曇野・松川村観光協会 TEL. 0261-62-6930

●JR大糸線 穂高駅
穂高駅より あづみ野周遊バス利用 約20分
※ あづみ野周遊バス
穂高駅を中心とした安曇野の観光地を巡る周遊バスです (運行区間内は乗り降り自由)。
4月下旬から11月上旬まで土日祝のみ運行。 (ただし、GW・7月下旬~9月上旬は平日も運行)

●JR大糸線 信濃大町駅
信濃大町駅より 信濃大町周遊バス「ぐるりん号」利用 約35分
※ 信濃大町周遊バス「ぐるりん号」
7月上旬から11月上旬までの土日祝のみ運行。 (ただし、7月下旬~9月上旬は平日も運行)

■長野市からのアクセス
長野駅から JR篠ノ井線にて 松本駅 へ
松本駅で JR大糸線に乗り換え 信濃松川駅 もしくは 穂高駅 下車

長野駅から 松本駅を経由し、南小谷駅へ行くリゾート列車も利用できます。(1日1往復)

<補足>
長野市からは大町への高速バスもございます。
※ このバスをご利用の場合は、信濃大町駅バス停にて下車、JR大糸線に乗り換え 信濃松川駅 まで電車をご利用ください。
また、7月上旬から11月上旬まで 大町周遊バス「ぐるりん号」が運行しております。安曇野ちひろ美術館を通るコースもございますので、ご利用ください。

■松本市からのアクセス
JR大糸線にて 信濃松川駅 もしくは 穂高駅 下車

[飛行機(信州まつもと空港)からのアクセス]
信州まつもと空港から、安曇野市(穂高駅前)・池田町(道の駅池田)・松川村(すずむし荘)・大町市(大町温泉郷)・白馬村(神城駅、白馬八方バスターミナル)・小谷村(栂池高原)を往復するシャトルバスが運行しております。
・安曇野ちひろ美術館最寄の停車バス停 : 松川村(すずむし荘) 下車 徒歩 5分程度

[都心から高速バスによるアクセス]
東京 新宿駅西口バスターミナル から白馬方面へ高速バスが運行しております。
・安曇野ちひろ美術館最寄の停車バス停 : 安曇野松川 下車 タクシー 約8分

[車によるアクセス]

長野自動車道「安曇野」I.C.より 大町・白馬方面へ 約30分
※駐車台数 200台(第1・2駐車場合計) 大型バス 8台(第1駐車場)
※第1駐車場から美術館までは約徒歩2分です(一部段差あり)。 お体の不自由な方は、身障者用駐車場もございますので、事前にご連絡ください。(TEL:0261-62-0772)

※2012年10月7日より 豊科ICは 安曇野ICへ名称変更いたしました
ホームページ
https://www.chihiro.jp/
会場問合せ先
テレフォンガイド:0261-62-0777
長野県北安曇郡松川村西原3358-24
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