広島市現代美術館は、約2年3ヶ月の大規模改修工事を経て、2023年3月に迎えるリニューアルオープンに際し、記念特別展「Before/After」を開催いたします。全館を会場とする本展は、これまでを大切にしつつも、様変わりを果たした美術館の全貌を披露する機会でもあります。改修工事後の建物には、いくつもの変わった箇所がありますが、本展ではこのようになにかがきっかけとなって生じる、さまざまな「まえ」と「あと」の現象や状況に着目します。例えば、経年による物質の変化や劣化は、通常は否定的に捉えられがちですが、あえて肯定的に向き合ってみるとどうなるでしょうか。また、核兵器として利用された原子力が、その後、エネルギー源として世界に繁栄をもたらすと信じられたように、歴史を振り返れば、いくつもの分岐点としての出来事や決断があり、変更や変化が起こってきたことに気づくでしょう。本展は、アーティストによる鋭敏な眼差し、そして歴史的視座を通して、事物の前と後、あるいはそのあいだ、その重なり合いに迫ります。こうした探求にふさわしいアーティストたちを導き手とし、彼・彼女らの手による当館コレクション作品、さらには今回のために制作された新作を交えて紹介します。その体験の前と後では、ほんの少し、あなたのなにかが変わっている。そんな新たな広島市現代美術館にご期待ください。