吉田真也はこれまで、土地の歴史や文化、風土などの人々の営みの痕跡を映像として残してきました。
今回発表する映像作品では、青森県六ヶ所村から発掘された約4000年前の甕棺と、その地下に貯蔵され、技術の発展を待つ使用済み燃料が眠るキャニスターを棺ととらえ、二つの地下に眠っていた/いる棺を架空の口述により交差させます。会場内に展示される写真は、六ヶ所村の大規模開発に先立ち発掘調査が行われた場所を現在の姿から淡々と写し取ります。一人の女性が埋葬されていた甕棺を起点に遥か数千年前から続く人々の営みを様々な痕跡から編み直すように構成された展示は、歴史上表出しなかった存在を浮かび上がらせるのかもしれません。