大阪中之島美術館では、関西・大阪21世紀協会と開催する「Osaka Directory」の第2弾として、貴志真生也(きし・まおや)の個展を開催します。
貴志真生也(1986年、大阪生まれ)は、木材や建築資材、発泡スチロールやブルーシートのような梱包資材、プラスチック材、LED電光掲示板などの工業製品を用いて、立体作品やインスタレーションを制作しています。これらの日常的に見かける素材をほとんど加工せずに組み合わせてできる作品は、子どものころに親しんだ「工作」のようでもありながら、建築や社会をたとえているようです。物をつくるということがその素材を加工して別の状態にすることであるとすれば、貴志は作品制作において「つくる」ことそのものを、形にしようと試みているとも言えます。
本展覧会では、既存作品と本展のための新作を交えながら、「作品に使われる素材」と「作品と成ったもの」の間に見える、アーティストの「手仕事」に光をあてます。それらは一見、素材がそのまま用いられていますが、素材とは別の存在感が与えられています。日常的によく見るものがそのままの質感で置かれていながら、見たことのないかたちに変化すること。そこには、アーティストが作品を制作するということの本質を垣間見ることができるでしょう。