大正6年(1917)に四人の日本画家、飛田周山(ひだしゅうざん)、水上泰生(みずかみたいせい)、山内(やまうち)多門、勝田蕉琴(しょうきん)によって描かれた連作《水郷めぐり》は、利根川流域から茨城県南部の旅をもとに生まれた作品です。画家たちは各所で写生し、それぞれの風景を幅六尺(約180㎝)前後の横長の画面に仕上げました。全体が水郷の湿潤な空気を伝えるような、水墨の描写を主とした連作となっています。
これらは大正7年の展覧会で公開後、旅を共にした小池北風の旅行記とあわせて、書籍『水郷めぐり』として出版され、評判となりました。
本展覧会は、連作《水郷めぐり》を一堂に公開する、およそ100年ぶりの機会となります。当時の実力派日本画家の筆による大正時代の水郷風景を、旅情とともにお楽しみください。