没後70年となる画家・山脇信徳(1886-1952)の展覧会を開催します。高知市に生まれた山脇は、東京美術学校在学中の1909(明治42年)、第3回文展に出品した《停車場の朝》で注目を集めます。現在は焼失してしまった本作は、印象派風の作風で陶芸家・バーナード・リーチや彫刻家・高村光太郎の目に留まり、印象派の画家モネと重ねて称賛されました。その後も美術展出品を続け、白樺派の作家たちと交流するなどし、1912(明治45)年に東京を離れます。滋賀県で中学校の図画教員を務めた後、満州勤務を経て、欧州へ留学。帰国後は高知に暮らし、欧州でのスケッチを基にした作品や高知を主題とした絵を描きました。同時代の芸術家たちとの交流も続ける一方で、高知県展発足や後進芸術家の育成に尽力するなど、故郷の文化芸術推進に大きな貢献をします。当館所蔵の山脇信徳作品約60点を同時代の作家たちの作品とともにご覧ください。