「ヴァーチャル・ボディ:メディアにおける存在と不在」展では、日本、チリ、中国、ドイツ、メキシコ、そしてアメリカを拠点に活動する14名のアーティストが、ポストコロナの時代について「ヴァーチャリティ」をテーマに考察します。新型コロナ感染拡大は、身の回りの世界との関係性や自己という概念に多大な影響を与えています。現代社会におけるデジタル・メディアの領域では、SNSにおける二極化やフェイクニュースの政治的利用が多発しています。しかし、仕事や教育の場をはじめ、人との関わりによって成り立っている私たちの日常生活では、オンライン・コミュニケーション・ツールや各種メディアは不可欠な存在となりつつあります。こうした状況のなかで意識せざるを得ないのは、健常性、年齢、社会階級、ジェンダー、人種、スピリチュアリティや精神性の問題を抱える私たちの身体そのものではないでしょうか。同時に、多様な可能性を提示する「体(ボディ)」という概念は、他の「体(ボディ)」と共生する未来を想像させます。それは動物や植物、テクノロジーやデジタル・ゴーストとの関わりのなかで、人間という姿形が解体されていくことを示しているのかもしれません。