タイトル等
立花 英久の塑像
会場
SAVOIR VIVRE
会期
2021-12-18~2021-12-26
概要
手続を守る
立花英久

それは、ずいぶんとむかしにメモをとった言葉だった。走り書きにはこう書いてある。「われわれが古風な手続を守り、世界に対して和解の言葉を語り、取り戻した調和のよろこびと、愛のやりとりへの尽きせぬ欲望について話すことを許してほしい。」(デボラ・モガー『チューリップ熱』より抜粋)。フェルメールの手紙を、作家が引用していたらしく、その脇には、さらにわたしの字で「ここでいう『手続』ということばは、僕らのよく使うそれよりもかがやいて見える」、と添えてあるのだった。
わたしはノートのページを、前に、前に、ぱらぱらとめくった。机にずっと積まれたまま、埃を吸い込んだ一冊だ。
「彼女の言うとおりだった。」
わたしは手を止めた。
「僕は手持ちのカードを全部テーブルの上に並べ、それが全部相手のカードに負けたのだ。僕はみんなに手を読まれてしまっているようだった。『どうも行くしかなさそうだな』と僕はあきらめて言った。彼女は微笑んだ。『きっとあなたのためにもそれがいちばんいいのよ。羊はうまくみつかると思うわ』」(村上春樹『羊をめぐる冒険』より)
およそ二〇年以上も前の、ずうっと前の、わたしに背中を押されているみたいだ。
むかしのわたしがもう一人のわたしのように、ノートに向かって鉛筆を走らせているのが見える。それから、しずかに、徐々に、いつのまにか跡形もなく消えた。
となりの部屋から、なにか飲む? と声がした。
ホームページ
https://savoir-vivre.co.jp/exhibition/9250.html
会場住所
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 3F
交通案内
地下鉄
東京メトロ日比谷線
東京メトロ大江戸線
---六本木駅下車(3番出口)
六本木交差点を(外苑東通り)東京タワー方向へ徒歩約7分

東京メトロ南北線
---六本木一丁目駅下車
飯倉片町方向に向かい片町交差点を渡って右折

バス
渋谷駅(東口ターミナル)より
都01:新橋行き
---六本木下車

都88:新橋駅北口行き
---六本木五丁目下車

五反田駅(東口ターミナル)より
反96:新橋駅前行き
---飯倉片町下車

田町駅(港区スポーツセンター)より
田70:新宿駅西口行き
---六本木下車
ホームページ
http://www.savoir-vivre.co.jp/
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 3F
Webcat plus 展覧会タイトル等から関連資料を連想検索