今年度の「往復書簡」展の企画は卒業後10年ほど制作発表を丁寧に行って来ている伊藤ちさとさんと学部4年の坂本美果さんにお願いした。
年齢差もそれなりにあるが、本展の企画意図はこれから社会に出る在校生とすでに卒業後画家として活動を何年も継続している卒業生画家との作品を巡る文通があってのことで、今年の二人の組み合わせもその主旨に適ったものだ。
伊藤さんは学部を卒業後共同アトリエに参加し制作を継続する環境を整備しながら個展やグループ展のキャリアをしっかり積んで来ている。作品スタイルも模索しながらも絵画性もオリジナルティも高い良作をコンスタントに発表して来ている。
坂本さんは3年生頃から作品の方向性がはっきりして来て制作量も増えつつあり、卒業後も作家志向が高くこれからが楽しみな学部生だが、本展が学外での本格的な展示となる。
本企画もこれで4回目となるが、過去の3回にも増して今回は充実した2人展になると確信するが、本企画は教育的な側面もあり、やはり皆さまのご高覧と2人への真摯な作品評があって完成するものなので、ぜひご高覧の上作品に対するご意見を賜れれば大変ありがたい。
展覧会企画 東京造形大学絵画専攻領域教授 近藤昌美