□作家コメント
「たんぱく質の憂鬱」
地球上の生き物は「たんぱく質」でできている。たんぱく質を食べて、たんぱく質で身体を構成し、私はたんぱく質繊維で作品を作る。現在、人類を困らせているウイルスだってたんぱく質でできているらしい。
しかし、たんぱく質は繊細である。傷つきやすく、いつも悩ましい「痛み」を抱えているが、ひとつの身体に対して「痛み」は一つでない。例えば近頃の私は、右の肩は元気だが左の肩は50肩で痛い。さらに血液検査の結果にしても血糖値は正常だがコレストロールが高めなどと、私の身体は、細かい項目で切り刻まれているかのように存在していて、まるでパッチワークによる集合体のようだといつも感じている。
今回は、自らの身体に持っているイメージを自分なりの「形」にすることを試みた。身体の表層部分の皮膚とドレスがパッチワーク状に一体化しているイメージや「痛い」と感じるものの「形」などである。