フランスの建築家ジャン・ヌーベル(1945~)は、現在、世界的に最も注目を集める建築家の一人です。パリのアラブ世界研究所(1987年)に代表される彼の建築は、ガラスやミラーなどの素材を多用し、そこに映る周囲の景色や建物内部の太陽光線が複雑に反射して、多面的な様相を見せるようにデザインされており、しばしば「映像的」と形容されます。
本展は、2001年にパリのポンピドーセンターで開催され話題を呼んだ展覧会で、ヌーベル自身も構成や内容に深く関っています。実現しなかったプロジェクトを含め、これまで手掛けた数多くのコンピューター・ドローイングを中心に、影像と音を組み合わせて彼のデザイン感覚を描き出す、建築展のひとつの在り方を提示します。