感覚を開放し、想像力かきたてる抽象の世界
20世紀前半の西洋で発達した抽象表現は、描く対象物のイメージを写実性とは切り離し、線や形、色彩のみで構成しようとした試みであり、美術におけるモダニズムを象徴する出来事でした。しかしその起源は、音楽や原始美術、宗教観や自然観と結びついていると言われており、アジアにおいては1960年代頃から西洋モダニズムに関心をよせていた美術家たちが独自の抽象表現を試み始めます。
本展は、あじび所蔵の1960年代から現代までのアジアの抽象美術に注目した展覧会です。前半は、線や円、幾何学模様などによる瞑想的で普遍性を感じさせる作品を、後半は、万物の生命力やエネルギー、自然の有機性などをテーマにした作品を紹介します。たくさんの抽象美術に囲まれることで、感覚は解放され、作品のイメージは無限に広がっていくことでしょう。