日本の国土は南北に長く、四方が海に囲まれた島国ですが、豊かな農耕に適した平野があり、海岸線は微妙に入り組んで、世界のなかでもめずらしい様相を示しています。南方からの暖流と北方の寒流が重なり、熱帯的なものと寒帯的なものとが複雑に入り交じってさらに目まぐるしさをましており、その自然の変化の様を、端的に示しているのが四季の変化といえます。
花木草花を題材とする美術工芸品は、その題材の明快さ、日本人の情緒的・装飾的感性を表現するのに最もふさわしいものであったところから、古くから流行し、多くの画家や工芸家によって数多く制作されてきました。
本展では自然に対する伝統の心を見つめ直し、四季の移ろいや旬を感じ取っていただくことを目的に、日本人が自然との間で織りなした美意識が鮮明に表現された作品を展示し、和の心に迫ります。