「生きものが生きものを食べるのは、まさに生命の交歓である。」
人間の三大欲求の一つである「食」。岡本太郎にとっての「食」は、自身の中の原始的な感動をよびさますものであり、生活と芸術は一体であるという岡本の理念を実現させる糸口の一つでもありました。岡本がデザインしたインダストリアル作品の中にはティーポットやグラスなどの食器、ワインクーラー付きのテーブルなど「食」の場を意識したものが数多く残されています。また、ダイナミックな書が躍る大皿や顔のある茶器などの一風変わった陶芸作品も手掛けました。
本展では岡本太郎にまつわる「食」をテーマに、メキシコのホテルの食堂のために依頼された壁画《豊饒の神話》の原画を中心に、油彩、陶器、インダストリアルなどの作品を展示します。
人生、芸術、そして食べることもまた闘いだと考えていた岡本の作品を「食」という視点から読みとく試みです。