私たちは、デパートや陶器市、時にはミュージアムショップで、気に入った工芸品を購入し、使用します。工芸の魅力のひとつは、日常的な生活、つまり「暮らし」に取りいれやすい点にあるでしょう。
本展では、特別展「リサ・ラーソン」展(2021年1月8日~2月21日)に合わせ、民藝運動に深く関わった濱田庄司の陶器、此君亭工房の竹のクラフト、そして生野祥雲斎の室内装飾といった、「暮らし」との関わりが特に深い工芸作品を取り上げます。
工芸と「暮らし」との関係は多様です。たとえば、大正期にはじまった民藝運動は、産地に固有の伝統的な技術やデザインによる制作を推し進め、それを近代的な都市生活に取り入れようとします。一方、クラフトは、制作の段階から、現代的な感覚を重視して作られる傾向にあります。これらに対して、室内装飾は、使用することよりも鑑賞や空間演出を目的に作られています。このような、「暮らし」との多様な関係が、工芸の世界を豊かにしています。みなさんが、リサのグッズを購入し、使用したり鑑賞したりすることが工芸の豊かな世界をかたちづくっているのです。