千年の歴史をもつ和紙は、人と自然が造り出す「水の芸術」です。堀木エリ子は、その伝統に挑み、建築空間に生きる革新的な和紙の造形を追求する和紙デザイナーです。国内外の建築空間で和紙の特性を生かした光る壁、光柱、ライトオブジェなど、堀木はこれまでの和紙の概念をくつがえすような作品を創作し、話題を集めています。
今回の展覧会では15メートルの一枚漉きの巨大な和紙の2連作によって展示室を包み込むという全く新しい試みに挑戦いたします。まるで胎内に入りこんでいくような不思議な感覚、植物から生まれ、呼吸をし続ける和紙の生命感が体全体で感じられます。ライティングされた和紙は、光の変化とともに様々な表情を見せながら、独特の幻想的な世界へ観る人を誘います。
作品は全て手漉きで、光を柔らかく透過する和紙の特徴を生かし、色を浮かび上がらせる効果を加えながら制作されます。手間をかけ制作された一つひとつの作品にはそれぞれ意味があり、世界で一つしかない一点ものです。汐留の超高層ビルと日本古来の伝統美を堀木エリ子が独自の視点で表現しました。 伝統から革新へ―ダイナミックに進化する堀木エリ子の和紙空間をご紹介します。