芸術家の着想源として、旅は重要な役割を果たしてきました。彼らが異郷で見聞きすることは創作の糧となり、作品を見る私たちも遠くへと連れていってくれます。一方、新型コロナウイルス感染症の拡大により国内外への移動に制限が課せられる中、遠くの地を目指すのではなく身近な場所を訪れる新たな旅のスタイルが生まれています。故郷を見つめて表現する芸術家の作品は、この状況において私たちが地域の魅力を改めて認識するための手がかりになるのではないでしょうか。本展では、遠くを志し各地を旅する「巡る」、今この地を振り返り見つめなおす「還る」をキーワードに、当館が所蔵する絵画、彫刻、写真作品をご覧いただきます。