現在、東京都庭園美術館として公開している建物は、旧皇族朝香宮家の本邸として1933年(昭和8)に完成されたものです。
1920年代前半のアール・デコ全盛期に、ご夫妻揃ってパリに滞在されていた朝香宮両殿下は、1925年(大正14)に開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(アール・デコ博)」を実際にご覧になられた経験をお持ちでした。 お二人は日本帰国後に新たな宮邸の建設計画に着手され、世界でも有数の本格的なアール・デコ様式の邸館を誕生させました。この新邸の建設にあたり、フランス人デザイナー、アンリ・ラパンが起用され、ルネ・ラリックやマックス・アングランなど、パリで活躍していたアール・デコの芸術家たちの作品が宮邸主要室内の装飾に用いられました。ラパンの壁画やラリックのガラスレリーフなど、当時この邸館のために制作され、海を渡ってきた作品の数々は、70年という時を越えて現在も建物の中でその輝きを保っています。
本展では、「朝香宮がみたパリ: 1925年アール・デコ博覧会」をテーマに、日仏アール・デコ・スタイルの架け橋として宮邸装飾に尽力したアンリ・ラパン、ルネ・ラリック、マックス・アングラン、レイモン・シューブらの作品のほか、宮邸誕生に際して日本人デザイナーにインスピレーションを与えた、アール・デコの様々なスタイルの作品をご紹介いたします。
※開館20周年を記念して、本展会期中3階のウィンターガーデンを特別公開いたします。