ミラノを拠点に活動を続ける廣瀬智央(1963-)の個展を開催します。1990年代から美術家として活動する廣瀬は、豆やパスタをはじめ誰もがよく知る日常の素材を用い、豊かさと貧しさ、人工と自然、ミクロとマクロなど相反する要素が共存する詩的な表現をおこなうことで知られています。
アーツ前橋では、屋上看板を用いた作品《空のプロジェクト:遠い空、近い空》(2013年)をきっかけに、2016年から19年間継続する母子生活支援施設の母子たちとの壮大なプロジェクトが進行しています。
美術館では20年ぶりの個展となる今回は、イタリア移住後の初期作品から近作、新作までを展観します。代表作のひとつ《レモンプロジェクト03》(1997年/2020年)は、約3万個のレモンが床を埋め尽くしますが、使用したレモンを紙などに再生し、物質の循環にも目を向ける新たな試みを加えます。
本展は、異なる文化圏を横断する廣瀬の創作活動を通して、複雑で矛盾を抱えるこの世界と向き合う彼の姿勢に触れる機会となるでしょう。