東アジアにおける金属工芸は、実に三千年の歴史のなかで育まれてまいりました。中国では宋時代以降、古代青銅器を模倣した銅花器(どうかき)が文人の書斎を飾る道具として珍重されました。日本にも室町時代以降多くもたらされ、江戸時代にはそれらを模倣した銅花器が発達し、さらにその伝統は近代へと受け継がれました。
本展覧会では、富山大学芸術文化学部所蔵の大郷(おおごう)コレクションを中心にして、日本近代銅花器の多種多様な造形をご紹介します。さらに近代蠟型鋳造(ろうがたちゅうぞう)発展に大きく貢献した須賀松園(すがしょうえん)工房に焦点を当て、その代表作品とともに蠟原型(ろうげんけい)なども併せて公開します。
日本近代銅器制作のなかで大きな地位を占めた蠟型鋳造技法をわかりやすくご紹介します。