浮世絵の「浮世」は、もとは「憂世【うきよ】」と書きました。中世までの厭世的な社会は、江戸時代になり経済生活を確立しつつあった庶民のエナジーによって大きく変化し始めます。日常生活は画題となり、庶民も絵を買い求め、絵師たちは多彩な活動を始めたのです。とりわけ時代を写す鏡のような風俗画や浮世絵は、その最たるものといえるでしょう。
本展では静嘉堂秘蔵の浮世絵版画を初期浮世絵から幕末まで通史的に展観いたします。さらに明治末期の超豪華本『浮世絵派画集』(審美書院)に岩崎禰之助所蔵として掲載された肉筆浮世絵なども含め、初公開作品を多数展示します。
本展は、本年4月11日開幕予定であったものを、会期を変更し開催するものです。近世初期風俗画から浮世絵へ。疫病をも打ち払う江戸時代の人々のエナジーをご堪能ください。